ニューヨークに星の数ほどあるコワーキングスペースを直撃取材する本連載!第5回は木のぬくもりと運営スタッフのDIY愛が溢れるコワーキングスペース「The Farm SoHo」に行ってきました!

ニューヨークの有名なお洒落コワーキングスペースのひとつとして、様々なWebメディアに取り上げられている「The Farm SoHo」。

若者の集まる地域SOHOの一角にありますが、以前ご紹介したTechspaceと同じく、場所がわかりにくい。とてもコワーキングスペースが入っているようには見えないビルの入り口に「The Farm SoHo」の表記を見つけ、おそるおそるブザーを押すと、鍵を開く音が。

遠慮なく外扉を開けて二階にあがると、木製の扉がお出迎え。

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RPGの世界に迷い込んだかのような扉にワクワク

開けると直ぐに受付です。

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ノリがよすぎるファウンダー

最初に申し上げると、「The Farm SoHo」は彼らのノリのよさを反映しているようなコワーキングスペース。BGMは一切流れていないのに、なんとなく賑やかで陽気な雰囲気です。

受付に置いてあるのは、スタッフのパソコンと、液晶ディスプレイ。イベントの際は、液晶ディスプレイで案内表示をするそうです。

チェックインシステムもあって、積極的に新しいものを取り込んでいる様子。

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iPadっぽい

さっそく中に入ってみた

受付に入ってすぐ左は、固定席を持たないオープンデスク会員用のワークスペース。待ち合わせにも使える大きなソファに、まるでバーのようなカウンターチェアとハイテーブルが20席、通常のテーブルが4席あります。

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反対側から見た景色はこちら。

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広々とした空間になっていて、イベントスペースとしても貸し出しているそう。

スタッフお手製の斬新な会議スペースも

こちらで目につくのが、窓際の一角にある扉付きブース。

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まるで電話ボックスのような3つのブースは、主に電話をするために使われているそうです。

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空手を習っているというスタッフのJamesさん

更に気になるのは、階段で上に行けるスペース。スタッフのお手製らしく、人目を忍んだ小さな会議やワークスペースとして使えるのだとか。

さらには、木の壁が手前に開いて、イベント時には即席ステージが現れるなど、斬新で手作り感のあるスペース。

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中は狭すぎて写真が撮れなかったのでぜひ想像してみてください

エレベーター横には郵便受けがあります。郵便受けはキャスター付きで手作り感が満載。イベント開催時にスペース移動が楽なように、キャスター付きなのでしょう。

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赤い扉、実はエレベーター

昼寝と授乳ができる小部屋、ランプに特殊な仕掛けが

さて、受付の右にある区切られた空間の方に進みましょうか。

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受付の左横には、6人収容できる会議室が三つと、荷物置き場があります。

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会議室の前のモニターで使用予約状況が確認できる

各会議室の間仕切りをガラス戸とカーテンにすることで、空間の窮屈さを感じさせず、さらに二つや三つの会議室をつなげても使用できるとのこと。

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左がガラス戸、右がカーテン

通路の反対側には荷物置き場と、オフィススペースの間に、目立たないような扉。これは物置きではなくて、昼寝兼授乳スペースです。

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荷物置き場でもありコート置き場でもあり

ベッド一台がやっと入るくらいのスペースで、中に入るとランプが点灯、1分後には自動的に消える仕組みになっています。

赤ちゃん連れの方が授乳できるようにとの配慮もあるそう。スタッフのJamesさんもこちらでときどき寝ているよ、と話してくださいました。

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中から鍵がかけられるので、いつのまにか爆睡……とかもありそう

基本的にはデスク貸し、メインのオフィスペースへ

会議室と荷物置き場を通り過ぎて、いよいよメインのオフィススペースへ。

基本的にはデスク貸しで、個室のオフィス貸しはありません。個室を希望されるクライアントには、隣に保有している個室貸し専用のビル(2016年10月現在、5フロアに100社入居中)を案内しているそうです。

会社や個人での固定席の入居が多く、最大で30名程度の会社を収容しています。会社の場合、デスクの島(計6デスク)単位での入居になり、30名の会社は手前の5つの島を借りているとのこと。同じ会社で入居している辺りは、冗談を言い合うなど賑やかで楽しげな雰囲気です。

また、メインオフィススペースにも、固定席を持たないひと用の島が7つ、計42デスク用意されており、受付前かこちらかを気分によって選べるようになっています。

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壁に貼り付けてある緑の箱は一デスク(固定席限定)につき一つ割り当てられるロッカー

メインオフィススペースを歩いていくと、奥に、上の方に窓がついている木製の壁が出現します。こちらはまだDIY中なのですが、後程ご案内するロフトからオフィスを見渡すことのできる窓です。

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手作り感あるトイレと素朴なミニキッチン

更に進んでいくと、左手に男女が分かれていない、手作り感のあるトイレ。

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そしてミニキッチン。こちらには、大きな冷蔵庫、コーヒーメーカー、紅茶のティーバックなど必要最小限のものが用意されています。

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3人くらい入ってもあまり不快にならないくらい
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近付いてみた
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日替わりで味を変えられそうなお紅茶
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コーヒーのお代金は横の瓶へ
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イベントも作業もできる万能な階段

そのまま端の方まで歩いていくと、窓の前の長テーブルと木製の大きな階段が現れます。
ここでも寛いでパソコン作業をしたり、ミニミーティングをしたりしている方がいます。

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大きな階段のスペースもイベント用に貸していおり、窓側に張った大きなスクリーンにはプロジェクターで映像を映し出すことができるとのこと。

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背もたれに使えそうな穀物袋

階段を登った先にはリビングルーム風のロフト

そして、オフィスツアーの終着地点は、大階段をのぼった先にあるロフトです。

大人が中腰で立てるくらいの高さの場所に、ソファとテレビが配置されています。ピザやビールを持ち込んでミニパーティも映画鑑賞もできる、家のリビングルームのような空間。

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奥にある小窓からメインオフィススペースを見渡せる作りになっています。

手作り感あふれる場所づくりは運営スタッフのこだわり

ざーっと説明しましたが、受付からオフィスの奥の奥まで一回もドアを開け閉めすることがなく、空間がひと続きになっています。

ドアを使わずに、階段やロフトなどの構造や内装、インテリアで、オフィス各所の空間の特性を作っています。部屋が全部つながっていて、オープンスペースだけで構成しているため、オフィスのどこかで冗談を言っていたりしていたらその雰囲気が伝播します。

うるさくないのかな?と不安になりますが、社交的な利用者が多く、オフィス内がうるさくて他の利用者から苦情がきたことはないそうです。この賑やかさもこのオフィスの特徴ですね。

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カメラ目線ありがとうございます

また、全体的に手作り感が漂う空間には温かみを感じます。運営スタッフがDIY好きで、どこか隙間や空間を見つけると、部屋を作ってしまうのだとか。訪問時も、ロフトはまだ一部改造中でしたし、キッチン横の物置スペースも改良中でした。

そして木造なのも、運営スタッフのこだわり。視覚的にも温かみがあるし、コスト的にも助かるということで、ミズーリから安く仕入れた木材を使っています。(同じ木材を使いたかったら、仕入先を紹介するよ!と言ってくださいました。なんとも気さくで陽気!)

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ファンキーでノリがいい感じ

「The Farm SoHo」はファウンダーがコワーキングスペースブームの到来を感じた2013年に開業。名前の「The Farm SoHo」は、人の記憶に残りやすそう、いろんな会社を育てていくイメージが持てる、農場をイメージした内装も良い、という理由で名付けたそうです。

いまは、175人、70社が入居していて、入居者の1/4はフリーランスなど個人事業主。入居企業の規模は4-30人で、6席でひとつデスクの島を作っているからか、6人規模の会社が多いとのこと。入居申し込みがあったら、来る者拒まず選考も無く即入居可能。入居者の傾向は特になく、陽気で少しゆるい雰囲気に馴染めるひとが集まっています。

現在は80%程度の満室率。まだまだコワーキングスペースのニーズは感じており、拠点拡大は検討中とのことです。コワーキングはまだ実験的なマーケットだと、目をきらりと光らせるスタッフに次の展開を期待してしまいます。また訪問するときには内装が変わってるのかしら!

The Farm SoHo