ニューヨークに星の数ほどあるコワーキングスペースを直撃取材する本連載!第8回は過去にUberやBufferも入居しており、スタートアップを育てる名物代表が在籍しているオフィス「Projective Space」に行ってきました!

目指すはエレベーターおじいさんがいる謎のビル

チャイナタウンから程近いビルにあるProjective Space。まず入る前に驚くべきポイントを一つ、なんとこのビルにはエレベーター係のおじいさんがいるのです。階数を伝えると、おじいさんがぐるぐるとハンドルを回してくださり、伝えた階まで連れて行ってくれます。おじいさんの登場が不意打ちだったのでドギマギしてしまったのですが、写真撮っておけばよかったーー。

8 01入口の「PROJECTIVE SPACE」は目立ちすぎもしない出で立ち

一生懸命回してもらったエレベーターを降りると受付に到着。「PROJECTIVE SPACE」の文字が目に飛び込んできます。

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このスペースではピッチ大会なども開催しているそう

受付から左を向くと、「PROJECTIVE」と書いてある10席分のデスクの島、その奥には立ったまま作業ができるスタンディングデスクもあります。

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受付むかって右を見ると、観葉植物といくつかのソファが壁沿いに置いてあり、空間の真ん中にはピンポン台。

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どちらかというと手前は作業 、奥はくつろげるスペース

デスクとまったく区切られていない位置に待合用のソファがあるあたり、とてもオープンな雰囲気を感じます。

壁が少ない?ニューヨークならではの空間事情

ニューヨークのコワーキングスペースをいくつか訪問して感じたのは、建物が密集しているからか、窓から入る陽の光を皆さん大切にしているということ。

なるべく壁を設けなかったり、仕切りをガラス戸にしたり。Projective Spaceもほぼ壁がなく、数少ない壁には光を反射したり透過したりする半透明な素材が使用されています。

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数少ない壁で仕切られた受付横の会議室

会議室は二つあり、いずれも液晶モニター、ホワイトボード付き。

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個室は会議室のみ。見晴らし良すぎなオフィスのワケ

二つの会議室の間を抜けると、固定席用のオフィスが広がります。まず思ったのは、見渡す限り仕切りがないこと。

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こちらは会議室の間を抜けた後の光景

創業者のJamesによると「オープンスペースで見晴らしを良くし、他の人から刺激を受けられるようにしたい」思いがあったらしい。そこで個室は会議室のみ!というスペースのこだわり。

過去にはUberやBufferも入居。現在は日本企業も

Projective Spaceは、学生時代から起業経験を持ち元々アントレプレナーだったJames Wahbaが2011年に創業しました。

レンタルオフィスだったこの場所を引き継いだJamesは、場所貸しに留まらない、新しいアイディアでビジネスをする人たちのコミュニティを作るため、Projective Spaceをつくったそうです。

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全て兄弟と手がけた内装は最小限の物でセンスの良さを感じる

Projective Spaceのあるエリアは、チャイナタウンとリトルイタリーの境目あたりのところ。このあたりは飲食店も充実しており、チェーン店になりかわることもなく昔ながらのコーヒー屋さんも点在しています。Jamesは、身の丈に合った心地よさを醸すこのエリアの雰囲気が気に入っています。

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創業者のJames。新しいアイディアが好きで、ちょっとシャイ

Projective Spaceには2016年10月現在、64社120名が入居しています。

会社は4人規模くらいが多く、積極的にスタートアップ企業を受け入れています。いま入居しているのは、テクノロジーオンラインマーケティングやSNSマーケティングの会社、ベルト屋さん、アプリ制作会社などバラエティ豊か。

日本の会社では、福岡に本社があるコラボレーションツールの会社ヌーラボと、自転車用のお洒落ヘルメットのsawakoが入居しています。

過去には、Uberや、EventbriteIndiegogoBufferなど、様々なスタートアップ企業を輩出してきました。

入居時は面接アリ。Jamesが重視している二点とは

Projective Spaceは入居時に、面接による選考があります。面接で見る点は、ビジネスがイノベイティブかどうか、と会社の成長をサポートできそうか否か、の二点。

前者については、クリエイティブなアントレプレナーをもっと取り入れたいため、知り合いの口コミで優秀な会社に積極的に声をかけています。

8 14ふらふらとフロアを歩いてひとに声をかけるJames

後者については、Jamesが、会計士等の士業に留まらず、事業の成長を助けてくれそうな他の会社も紹介していくため、他と関わっていける会社がどうかを見るとのこと。ちなみにProjective Spaceのオンラインアプリで会社同士を紹介し、イベントを企画することもあるそうです。

とはいえ最後は事業ではなく人で選ぶと彼は言い切ります。いいメンバーがいい会社をつくる、と話すJamesの言葉に、背筋が伸びる思いがしました。

ビールがいつでも飲み放題!ビアサーバー設置済み

固定席エリアから受付前のスペースに戻って各種施設の紹介に戻りましょう。

きちんと片付けられた使いやすそうなミニキッチンが、大きな空間の窓際の窪みに備え付けてられています。

8 10キッチンもシンプル

横には、いつでもビール飲み放題のビアサーバー。コワーキングスペース大手のWe Workでも見かけますが、アメリカのコワーキングスペースでは、ビアサーバーの備え付けは一般的のようです。お酒が入ると社交的になるのは万国共通かしら。

8 11窓のすぐ横にこそっと置いてある

会議室以外の打ち合わせ場所も、程良い目立たなさで、壁を少しまわりこんだところに用意されています。

8 12テーブルが小さいのが気になる

そして、郵便受けも飾り立てられることもなく、シンプルな棚です。エレベーター横に在ります。

8 13棚が小さくて郵便物がはみ出てる

飄々としたJamesの人柄と、飾らず余計なものをそぎ落としたところに、センスの良さを感じる場所。今回、ニューヨークで18ヶ所のコワーキングスペースをまわってきて、私が最も入居したいと思ったオフィスはProject Spaceでした。エレベーターおじいさんがいるほど古いビルだし賃料安そうだし、内装にお金をかけている印象もなく、かと言ってケチには見えない。お金をかけて個室も作っていないし、オフィスは一望できるほど丸見えだけど、仕事にスッキリ集中できそう。お洒落、というより、センスの良さを感じる空間でした。ここには仕事をしに来ている、というDNAが隅々まで伝わっているような、オフィスとして気持ちのいい空間。

Projective Spaceは他にも、徒歩10分くらいのところにあるFreemansのレストランの二階をイベントスペースとして保有していたり、ブルックリンのウィリアムズバーグに三拠点目を開業予定だったり、拡大予定。

多拠点展開となったときに、名物代表Jamesが新しいビジネスをどう育てていくのか。これからの展開も気になります。

Projective Space