飲み友達の中に、テレビではサッカーを観るのに、生では観たことがない人がいた。海外選手の名前や代表戦の結果を知っているのに、画面の中でしかサッカーを観たことがない。そんな人。不思議な人だと思い、

「なんで観に行かないの?」

と聞くと

「別に観に行く理由がない」

と。

そうね。確かにね。わかる。
私も最近めっきり行ってない。

「じゃあ!どこか観に行こう!」

まるで飲みにでも誘うかのように気軽に声を掛けてみた。

そんな風に誘える場所は、西が丘サッカー場しかないんだけれど…。

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そもそもなぜ私も友人もサッカーを観に行かないんだろう。

家で観れるから?出不精だから?応援しているチームがないから?忙しいから?お金がかかるから?スタジアムが遠いから?

その全てが理由の一つであり、大きな理由でもない気がした。よく考えると私と友人の日常にサッカーは無かった

そんなサッカー is 非日常な人間。特に初めてサッカーを生で観る人にとって、サッカー観戦というのは意外とハードルが高い。というかタスクが多い。

決めるべきこと

・どの試合を観に行くのか
(J1、J2,、J3、JFL、大学、高校…)
・どこでやる試合を観に行くのか
(埼スタ、味スタ、フクアリ…)
・いつの試合を観に行くのか
(平日夜、土曜日、日曜日、祝日)
・どの座席で観ればいいのか
(安い席、高い席…)

決めた上で調べること

・トータルでどれくらいの支出になるか
(交通費+飲食費+チケット代)
・移動に掛かる時間
(家を何時に出発して何時に帰ってこれるか)
・必要な持ち物
(雨予報ならカッパ、フクアリならタッパー…)

相当な強い意思または理由がない限り、観に行く前から疲れる。

決めることも考えることも調べることも多い。

私自身、昔はジェフ千葉をこよなく愛していたので、フクアリによく行っていたが、今や、

・ちょっと遠いな…
・ちょっとチケット高いな…
・(夏なら)外は暑いな…
・(冬なら)外は寒いな…
・2時間も外にいるのか…
・今から行くの疲れるな…
・帰りも遅くなっちゃうな…

など行かない理由をならべては、IKEA船橋とコストコ幕張までは行くのにその先の蘇我まで行けないでいる。

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あとは夫ブロックもある。

「それ生で観る必要ある?チケット代(2,400円)払うならまたDAZN契約すれば?試合が終わるの何時?明日会社だよ?それにコストコで買った冷凍食品があるから無理だよ!」

そうだよね。確かにね。分かる。超合理的な夫を説得するほどの熱意もなく、コストコで購入した冷凍ブロッコリーとともに帰宅するのが日常だ。自宅に着く頃には、試合結果が分かっていて、スコアレスドローだったりすると行かなくて良かったと思ってしまうあたり、つくづくサポーター気質ではないなと少しだけ凹む。

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ざっくり言うと、サッカー観戦ってしたことがない人にはハードルが高いし、仮にひいきのチームがあったとしても必ずしも自分が観たい景色が観れるとは限らないから足が遠のくよねっていう。サッカー関係者から袋叩きにあいそうなことを言っている自覚はあるのだけど、これが私の周りの現実だ。

で、話を冒頭の西が丘に戻したい。

とりあえず何かしら試合を観に行こうとサッカーが分かる飲み友達と約束をした。別にチームもカテゴリーも場所も何でもいい。もし求めるものが一つあるとしたら疲れない程度に楽しいという感覚

友人には土曜日の午前11時に本蓮沼駅で!とだけ伝えた。予習を求めるような事前情報は一切伝えず。ただ大学サッカーだよとは言った。

試合当日になって、やる気のない我々は予め決めた集合時間から数分遅れて合流。西が丘へ向かって歩き出す。サッカー場のほんと数メートル手前にあるセブンイレブンでボトルコーヒーとお菓子を買ってチケット売り場で1,000円を払い、中に入った。

試合はもう始まっていたが、1試合目のキックオフ直後ということもあり、ほぼ空席。そもそも大学サッカー@西が丘で満席になるのは最終節くらいなものなので、別に驚きやしない。というかむしろこのガラガラ感がよい

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メインスタンド側の適当に空いている席に座ってとりあえずコーヒーを飲む。一応チームの説明…といっても、赤い方が流経で白い方が明治だよ、くらいをして、あとは適当に目の前の試合を観る。

あー惜しいね。とか、今の良かったね。とか。そういう雑な感想を垂れ流しながらただ目の前の試合を観る。西が丘はピッチとスタンドが近いので、そういう雑な感想を言いやすくてとても良い

近くに座っていたおじさんが缶チューハイを飲んでいたので、私もそれが飲みたいと前半が終わって再度セブンイレブンに駆け込む。今度はストロングゼロとつまみを買って席に戻った。

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ハーフタイムにサクッとコンビニに行けるのもまた西が丘ならでは良いところ

目の前の若者たちが将来のJリーガーを夢見て真剣にサッカーをやっているというのに、三十路の女はそれを観ながらストゼロを飲んでいる。キラキラしたものを観ながら飲む高濃度アルコールは希望の味がした。

とかそんなよく分かんない物思いにふけっていたら試合が終わっていた。ちなみに母校は負けていた。悲しい。

そんな大学サッカー、1会場で2試合あるので1,000円で2試合見れる。

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サッカー界の目黒シネマ。

だが、別に1試合だけ観て帰っても問題ない。その日は1試合だけ見て西が丘を出た。

ほろ酔い気分で歩きながら赤羽へ。歩くと数十分かかるので酔い覚ましには丁度よい距離。駅で他の友人たちと合流して赤羽で飲み始めた。もはや西が丘は0次会の場所なのである。

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おいてめえ!神聖なサッカー場を0次会会場にしてんじゃねえぞゴルアと怒られそうだが、西が丘にはなんとなーく、それが許されそうな雰囲気がある。草サッカー感。スタジアムじゃない。ゆるーい。でも一応お金は払って。試合を観る席もある。そんな場所。だから

西が丘の何がいいって、気負わずにサッカーを観れることだなと。

誰かを誘うときにチケット代が1,000円だとやはり誘いやすい。場所も都内で駅から近いから誘いやすい。飲み友達であれば試合後に赤羽いこうよと言えば誘いやすい。

天気いいしサッカーでも観ながら軽くお酒でも飲もうよと言える場所、それが西が丘サッカー場である。

J3とか高校サッカーだとまた違うのかもしれないけれど関東大学サッカーリーグ戦の西が丘は牧歌的で雰囲気がいい。

試合には出ていない両校の部員達がスタンドで独特な応援合戦を繰り広げたり、選手と合コンした風の女子大生2人組が試合を観ながら就活や将来について語り合っていたり、選手の両親や兄弟が家族ぐるみの付き合いで仲睦まじく応援していたり。たまにOBのやじがうるさかったりするけど。それもひっくるめて良き。

ちなみに今年の関東大学サッカーリーグ戦は終わってしまったので、この感覚を味わうなら次はインカレ予選かな。でも冬は寒いんだよなあ。あと三田線なんて都営だから高くて乗りたくねーよwwwって人も季節限定で販売している都営地下鉄ワンデーパス500円を使って是非行ってみてはいかがでしょう?帰りは赤羽まるます家でうなぎ食べて帰るとかもおすすめです!

あと配偶者ブロックに頭を悩ませている方も「大学サッカーはDAZNじゃ見れないし、西が丘は交通費も往復1,000円以内だし、チケット代も1,000円だし、試合始まるの早いから終わるのも早いし(早く帰るとは行ってない)だから全然問題ない!!」でクリアできます。

今度はコストコでゴールンデンマルガリータ、セブンイレブンで氷カップ…全てを準備して試合に臨みたい所存。みなさまと西が丘で乾杯できることを楽しみにしております。

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