ニホンジンドットコムの仁田坂です。足の着かない海が苦手です。
深海恐怖症
勝手に深海恐怖症と呼んでいるんですが、深い海はこわい。海の底から何か出てきそうな、何とも言えない不安に襲われてしまいます。
グレートブルーホール、ヤコブの泉、イタリアにある世界一深いプールなんかもうダメ。
え?ぼくだけ?
ニホンジンドットコムはぼくらの知らない世界をすべて解き明かすフカボリ情報マガジン。今日は深い海の底からひょっこり頭を出している謎の岩、孀婦岩(そうふがん)をフカボリします。コレ。
いやいやいや、やばいって! ただでさえ周りが2500mの深海なだけでもこわいのに99mもの高さの岩が太平洋に浮かんでるのこわすぎるって!
謎の岩、孀婦岩の場所はここ。北緯29度47分39秒、東経140度20分31秒。
GoogleMapで見ても周りに何もなさすぎてまるで実感が湧かない……。
……こわくないですか?
謎1. 海底2500mから屹立する孀婦岩
何がこわいって、こんな岩が太平洋の荒波にも浸食されずに残っているのか分からなすぎてこわい。
環太平洋造山帯に位置する日本は海底火山などの作用でこういう謎地形がけっこうたくさんあります。記録されているだけでも福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)や明神礁(みょうじんしょう)など、なくなった島(厳密には岩)があります。記録されていないもの、波蝕でなくなってしまったものまで含めるともっと膨大にありそう。
でもね、、孀婦岩は残ってるんですよ……謎。
屹立具合がすごい
海上保安庁が公開している海底地形図によると周囲はわずかに100-200m程度の大陸棚(大陸棚と呼んでいいのだろうか)が広がるのみで、すぐに2500mもの深海へとつながっている。こええ……
わかりやすさのために縦横比を横方向へ圧縮した図がこんな感じ。屹立すぎるでしょ。
周囲にほんとうに何もないのがこわい。アホウドリの生息する無人島、鳥島(伊豆鳥島)まで76km。そこまで何もないのだ。なにそれ。
謎2. 東京から遠すぎるのに人を引きつける魅力
東京からの距離は約650km。東京-広島間の直線距離とだいたい同じくらい。なにそれ。実感が湧かなすぎる。八丈島から直接行っても20時間程度(参考)かかるとか。
伊豆諸島へのクルージングなどの際に見ることができるようで、けっこういろんな人が孀婦岩の近くまで行っている。動画に撮ってる人とかいるけどやばい。
謎3. 潜る人がいて意味不明すぎる
いやいやいや、2500mの深海なのになんで潜れるの!?こわくないの?
聞けば高い透明度と豊富な魚影からスキューバダイビングの聖地になっているらしい。意味不明すぎる。
謎4. 岩に登る人がけっこういる
最後の謎はこれ。
けっこう登る人がいるみたいなんです。1972年に早稲田大学探検部が初登庁しているほか、2003年に登頂した方は詳細なブログを残しています。引用します。
うねりの底と頂上の落差を、現地では 4~ 5 m と推視したが、写真で測るとその倍はあったようだ。
(引用: Hey! Manbow)
つまり8〜10m……? そんなに波のうねっているところにゴムボートで乗り付ける決死の覚悟が意味不明。いや、厳密に言うとぼくも昔登山部だったからロッククライミングの楽しさは分かっているつもりなんですがそこまでして登るか、と。
孀婦岩に登るためには8〜10mも波がうねっている中、ゴムボートで近づき岩にしがみつく。次のうねりが来る前に岩をよじ登らないと海に引きずり込まれてアウト。いや、なにそれ。
伊豆半島の下田から漁船をチャーターすれば、燃料込みで200万円ほどで行けたり登れたりするようです。国内に未踏峰が残っていない現在、ほとんど誰も行ったことがない場所に行きたくてたまらない方はぜひ行かれてみてはいかがでしょうか(もし行かれた際にはぜひ、ニホンジンドットコムにご寄稿、ご連絡ください)
孀婦岩(そうふがん、そうふいわ)
- 場所: 北緯29度47分39秒、東経140度20分31秒
- 行き方: 伊豆半島の下田から漁船をチャーターする。燃料込みで200万円ほど。なにそれ
- 初登頂記録: 早稲田大学探検部(1972年)
(アイキャッチ写真提供: Kousuke Sekidou; CC-BY-SA)