ニューヨークに星の数ほどあるコワーキングスペースを直撃取材する本連載!第4回は健康になること間違いなしの、フィットネスジムもオーガニックカフェもマッサージスペースも併設するコワーキングスペース「Primary」に行ってきました!
シリーズ「ニューヨークの素敵なコワーキングスペース」
雨の金曜日の朝、午前10時前に訪れたのは、健康系コワーキングスペース「Primary」。
ニューヨークのコワーキングスペースを調べていくと、最も有名なのはとても高い時価総額を記録したWe Workなのですが、そのWe Work出身者がわざわざ独立してつくったコワーキングスペースが「Primary」です。ホームページを見ると、ヨガやフィットネスプログラムがある・・・コワーキングスペースでヨガをするってどういうこと?と思いながら午前9時からのヨガプログラムを狙って午前9時のアポを申し込むも担当者からにべもなく午前10時を希望されたので、気持ち早めに午前10時前にそわそわしながら来ました。
レンガ造りの立派な建物の中には、広々としたエントランスがあり、警備員さんが受付にいます。Primaryにアポイントがあることを警備員さんに告げて、入館証とエレベーターを操作するための暗証番号を貰います。
いざ健康系コワーキングスペース「Primary」へ
エレベーターを降りてさっそく受付。草で覆われた緑のカウンターはいかにもオーガニックや自然を意識した佇まいです。
というのも、ここは健康や自然の摂理などを意識した、オーガニック、ウェルネス系コワーキングスペースなのです。
目にやさしい緑のカウンターの中にいるお姉さんが出迎えてくれます。
アポ取得時に時間を気にしていた朝のヨガ教室は、既に終わっていました。残念。
受付横を入って右にあるキッチンコーナーでは、朝ヨガに参加したと思われる方々がグリーンスムージーを飲みながら集っていました。
キッチンの右横には、カフェバーも。皆さん、ソファとテーブルで思い思いに寛いでいます。
フィットネススタジオでは毎日4~8プログラムを提供
楽しみにしていたヨガ教室の見学はできませんでしたが、キッチンの奥にあるスタジオを見せていただきました。
フィットネススタジオは、スポーツクラブにあるような鏡張りの部屋でもなく、十数人くらいが同時に運動できそうな広々としたスペース。
スタジオでは、ヨガやキックボクシング、メディテーションなど、1日4~8プログラムを提供しています。詳しくはこちらでチェック。(会員以外の方も見れます!)
こちらはロッカーと洗面所。貴重品を預けたり、化粧を直したり、奥にはシャワーブースが備えつけてあるという充実ぶり。もちろん脱衣所やシャワーブースは男女で分かれています。ミニフィットネススタジオで心置きなく汗をかけますね。
食べ物、飲み物、スナック、全てがオーガニックなラインナップ
キッチンとカフェバーの方に戻りましょう。
スタッフ常駐のカフェバーでは、飲み物や食べ物を購入できるのですが、ここで提供されるものが只者ではないんです。
Stumptown coffeeの珈琲、野菜を美味しく調理するDig Innのランチ、LulitonixとPuregreenの新鮮な野菜ジュース。他のコワーキングスペースとは一線を画します。
こちらは空間全体を見た様子。キッチンとカフェバー、ソファスペースの横には、飲食しながら作業できるテーブルと椅子が置いてあり、広々としています。全く窮屈さを感じません。
ちなみに、右に見えるガラス戸の部分はスモールオフィスですが、こちらの説明は後程。まずは、受付からまっすぐ進んで写真左手のオフィススペースの方に進みます。
オフィススペースの手前の表示はこんな感じです。
オープンデスクは長机に心地よい椅子で仕事がはかどる
カフェスペースから分厚い壁を抜けたところは、オープンデスクになっていて、個室オフィスを持たない会員が、ロッカーを所有しながら好きな場所で作業ができるようになっています。
長机と座り心地の良さそうな椅子が108席分すっきりと規則正しく並んでいます。空間が広くとられているので、気を散らさずに集中してお仕事できそうですね。
スモールオフィスはセンスと機能が両立するつくり
次はスモールオフィスや会議室のあるスペースへ。
Primaryの大部分を占めているスモールオフィスには約60社が入居中です。
オフィスは大抵、窓に面するように配置されていますが、内部まで光が届くように三方がほぼ全てガラス張りです。光は良く通すようにしながらも、音が気にならないように遮音性の高いガラスを使用しているとのこと。確かに、会議をしている部屋の横を通っても静かでした。
空きがある3室の中で、一番広いオフィスがこちら。9人分の机と椅子、簡単な棚や照明は最初から完備。パソコンを持ち込んだだけでそのまますぐにオフィスを立ち上げられそう。
会議室は4〜12人用まで全部で4つ。こちらは4人用の会議室。どの部屋もモニターとテレコンのシステムが完備されています。
スモールオフィスや会議室、各部屋の入口には液晶が取り付けられているのも印象的です。スモールオフィスの場合は入居している会社の情報を、会議室の場合は部屋の予約状況を参照できるようになっています。
防音設備が整っていて、録音や撮影ができるスタジオルームもありました。パソコンで仕事ができる業種だけでなく、他の業種も取り込めるようにとの意図でしょうか。少人数のプロダクションなどに使われているようです。
マッサージ、整体、エステ、鍼……。さらには昼寝エリアも
今までご紹介した分だけで侮るなかれ。実はもっと奥のスペースに、より健康を意識した空間が広がっています。
ここから先は、昼寝、エステ、マッサージ、鍼診療を受けられるスペースです。
進んだ先には、贅沢にお香を炊きながらハンモックで昼寝ができる部屋。
曜日替わりで先生が来て、マッサージや整体、エステ、鍼を受けられる部屋も。
私が訪問したのが午前中だったので診療中の先生はいませんでしたが、普段は午後に予約制で受け付けているそうです。
健康に良すぎるコワーキングスペースはなぜ生まれたのか
フィットネススタジオから昼寝部屋まで、身体によいものがなんでも揃っている、なんともユニークなコワーキングスペースですが、こちらのスペースの発起人は、アメリカを始め今や世界12ヶ国にコワーキングスペースを展開しているWe work出身者。しかもWe Workの第二、第三号社員だとか。
その発起人のうちのひとり、建築デザイナーでもあるDannyに少しお話を伺いました。
共同経営者のLisaが、仕事で体調を崩したのをきっかけに、仕事と健康の相関に着目しはじめたDanny。ウェルネスが仕事に良い影響を及ぼすとの研究結果もあり、健康にこだわるコワーキングスペースを作ろうと企画したそう。
その結果、徹底的にウェルネスとオフィスの融合を考えて出来上がったのがPrimary。今まで触れてきたディテールの他にも、Citibikeと提携していて自転車を置くスペースを作っています。
ニューヨークのスタンダードなコワーキングスペース+αの品質とこだわりのサービスを提供しているにも関わらず、気軽に利用してもらえるよう、賃料をニューヨーク市街地マンハッタンで借りた場合よりも約2~3割安くしているなど、最大で325名入居できるスペースは、2016年10月現在で250名が入居。程良い混み具合で、仕事だけでなく健康にも気をつかうニューヨーカーのニーズにマッチしているのでは、という印象を受けました。
Primaryの印象をひとことで言い表すならば、エレガント。
風水も考慮にいれたつくりと、さりげなく置いてある植木屋さん監修の緑の影響もあるのか、肩ひじ張らずに無理をせず、その場に流れている気を取り込んで健康的に仕事できる、そんな気持ち良さを感じさせるスペースでした。